◇日時: 2018年5月13日(日)13:30〜16:30 (開場13:15)

◇場所:武蔵野プレイス スペースC

◇テーマ:「教育産業」が支配する?学校教育!!

 

     〜高大接続(そして中高接続も)を考える〜

報告:小池由美子さん(埼玉県立高校教諭)

会場:武蔵野プレイス(JR:武蔵境駅南口)

全進研 春のセミナー2018

テーマ:「教育産業」が支配する?学校教育!!

    〜高大接続(そして中高接続も)考える〜

                          記録・まとめ(遠藤)

開会(中村):

 会場がいっぱいになりました。ご参加ありがとうございます。

全進研は、子ども・青年の進路を考える時に「社会の課題」を抜きにはできないと考えて、教育現場での実践づくりと平行して、さまざまな課題をテーマに学習を継続している民間教育団体。現場の教員が中心になって活動している。

 学習指導要領の改訂にともなって、学校教育を民間に担わせる動きが活発になってきているように思う。今朝の日経新聞に「子育てに優しいマンションが売れている」という記事があり、「子育てに優しいのはいいことだ」と思って読んだら、それは住民に特化した英語塾や幼稚園などがあるということであり、ここにも教育産業が入り込んできていることを知った。教育産業の参入はもはや教育現場だけの問題だけに限らないと思った。

 

講師紹介(綿貫):

 小池さんとは長い付き合い。SNSもしているので、ずっとお会いしているような気がする。全進研でもお話をしていただいたことがある。埼玉の高校の現職の教員で、近著に「学校評価と四者協議会」がある。少し前に「新しい高校教育をつくる」に綿貫も書いているが、小池さんが編者で、実に丁寧に編集していただいた。今回の学習指導要領が出る前の著書であるが、その頃と比べて、今日の話を聴いてくださればとも思う。

 小池さんは、高校現場で高校生を生き生きさせながら、学会にも参加、大東文化大学でも授業をするなど、ご活躍である。全面展開になるであろう小池さんのお話を伺って、さまざまなご意見をいただきながら、この課題を深めていきたいと考えている。

 

報告:「教育産業」が支配する?学校教育!!

〜高大接続(そして中高接続も)を考える〜

                     小池由美子(埼玉県立高校教諭)

※文責は世話人会にあります。

 

はじめに〜自己紹介をかねて〜

◯教育産業と学校の現状 いったい、いつから始まったのだろう…?

◯みなさんと一緒に考えたいこと

 形を変えて絶えず競争させられる日本の子どもたち

 

 こんにちは。お天気の悪い中、お越しくださいましてありがとうございます。

SNSには、いつも「いいこと」しか書かないことにしているのだが、今回の学習指導要領や教育産業のことは、ついつい怒りになってしまう。「B支配」は、今や全国の学校を覆っていると言っても過言ではない。現場の酷い実態はたくさんあるが、今回の報告は「学校現場の愚痴」で終わらせたくない。どうしてこの事態になったのか。みなさんと一緒に考えていきたい。そう思ってレジュメを作ったら、「全面展開で」と綿貫さんに言われることになった。

 どのくらい前から、この状態が始まったのか。私は、共通一次が始まった頃の世代で、中学の頃は都立高校入試で偏差値があった。それから業者テストを使用しての受験指導が続き、日本の子どもたちは形を変えて絶えず競争させられていると思っている。そして、業者テストの使用などを受け入れる学校の側にも問題があると考える。

 

1.教育産業の学校への浸出

 浸出、敢えてこの文字を使う。自分の入試の時も塾はあった。大学進学率20%。女子は短大の方が多く、4年制にいくと就職できないといわれていた。

Yゼミナールには浪人生がたくさんいた。O社のテストがあり、ラジオでは深夜受験講座が流れていた。

 

(1)持ちつ持たれつの関係・・・?

   生徒の進路保障のために奮闘する教師、保護者の我が子への期待、

   高度経済成長と学歴

 教員になり、学校として、生徒にも模擬テストを勧めていた。家庭も学歴が高くなり、高校進学率が98%となり、「よりよい高校」へと考えるようになっていた、

 

(2)産業として成長する教育関連企業

①社会のニーズと教育関連企業として発展

 エリート教育と進学がリンクするようになった。中・高接続でも、「一業者」のテストが授業時間内に行われているという実態があった。高校の教員は「一業者」のテストの偏差値がいくつという会話をしていた。

 埼玉では、1992年当時の教育長が業者テストを撤廃。以降、授業内でテストをしなくなったが、私学に、外部テストの結果をもっていくという実態は残っている。高校の合同の説明では、保護者は「業者テストの偏差値がいくつか」ということを聞きたがる。

 

②教育市場の拡大と「公教育」への「規制緩和」?

 ←背景として教師の多忙化

 公教育へ教育産業が参入するターニングポイントはなんだったのか。(専門ではないが)、つまりゆとり教育が始まったときではないかと考えている。三浦朱門は「わからんものはわからなくていい。」と言った。一部のエリートが育てば、あとは自力で何とかする、と。授業についていけない子は塾依存のサイクルが作られた。

 教師の多忙化と相まって、業者テストを使用が進んだように思う。今また、一層深刻になっている。

 

(3)国の教育政策と財界のエリート育成の親和性

①公財政支出の抑制と私費負担の重さ

 海外は国公立が多い。日本は私学を増やした。私学は学費高い。それに追随して国公立大学の学費を上げた。「自己責任論」で経済や市場、教育や学校までもが支配されている。教育が「自己責任」になれば、家庭の負担は大きい。しかし「よい教育を受けさせたい」ということで無理をする。

 

2.新自由主義と公教育のスリム化

(1)米俵百俵から教育の市場化へ

①バブル崩壊と就職難

②大学進学率の上昇…大学の「固有名詞」化

 学歴から「学校歴」へ → 少子化でありながら受験競争激化

 労働法制が改悪され、非正規雇用が拡大した。これも「規制緩和」である。大卒でも正規雇用につけなくなった。「大卒」からさらにどの大学を卒業したか、という大学の「固有名詞」化が競争に拍車をかけ、ランキングが花盛りになり、教育産業がますます浸出するようになった。

 

(2)経済格差と教育格差

 今の高校生は生まれた時から不景気。親が非正規、ダブルトリプルワークということもあり、高校生の不安は、大学に受かるかよりも「大学を卒業して就職できるかどうか」である。「就職に強い大学は?」「◯◯大学は就職できるか」と質問される。私は生徒に話す。「大学は就職予備校ではない。いろいろなことを豊かに学んでほしい。」

 「自分は非正規にならないようにしたい」と思う1年生に話す。「椅子取りゲームで椅子を奪い合う人ではなく、足りない椅子を増やす人になってほしい。」主権者として育てる視点が不可欠と考える。

 高校入試は学区が拡大し、全県1学区が増えている。競争が激化している。受験産業批判だけではダメで、根本を見ていかなくてはと思う。この問題は広い視野で議論されていかなくてはならないと考える。

 

3.「教育産業」の学校支配の実態

(1)幼稚園から大学まで?

 大学さえも「統制された」感がある。すなわち、アドミッション・ポリシー、ディプロマ・ポリシーそしてカリキュラム・ポリシーで絞られている。そして教育課程ではコア・カリキュラムがその象徴。

 

(2)高校の実態

①教師の教育の自由と権利の問題…奪われる研修件、働き方

教師の教育の自由が奪われてきた。学校5日制導入で、先生には夏休みがなくなる。「研修の主催者」が問われ、研修に自由に参加できなくなった。教育委員会や学校長は「受験産業主催はOK」とする。研修とは教育産業が主催するものに行くこと、という「教員の勘違い」が始まっていると思う。予備校主催の研修で「どうやったらいい授業ができるか」と質問する現場の教員がいる。さらに、土・日は部活動にしばられて、研修にいかなくなっている実態もある。教員が教育の自由を取り戻さなくてはならない。

 

②進路実績と学校評価

 学校評価が浸透して、アカウンタビリティが求められる。

勤務校は「某社のテスト利用により進学成果が上がっている」ということで全国から視察来るようになった。

 

 

③競争させられる教職員と生徒

 大学入試があるので、「民間のテスト」を入れることになっているが、費用がものすごくかかり、保護者負担になる。以前、母子家庭の生徒から「全員が受験対象でなかったら、受けたくなかった。希望者だと言ってほしかった」と言われたことがある。

その辺りのことに、教員は鈍感だったりする。

 

④多大な私費負担強いられる家族

 勤務校では「学習指導要領が変わる。ポートフォリオを作らなくてはならない。「調査書が煩雑になる。」ということで、B社の作成した「eポートフォリオ」の導入が検討された。B社のテストやシステムを4種類も利用することになる。「教員の職務軽減のために」というが、

「面談でパソコンと向き合う教員、生徒になるだろう」という声もあり、導入は見送られた。

 

4.次期学習指導要領のねらい

 今回の改訂は「幼稚園から大学まで統制される」ということになり、ほんとうに重たい気持ちにさせられる。

(1)財政が要請する「グローバル人材」

①全面に押し出された「資質・能力」…「何ができるか」?

 大学では、アドミッション・ポリシーとして「グローバル人材の育成」ということが盛んにいわれるようになった。勤務校で、教育目標の検討にあたり、「人材」でよいのか、「生徒」を育てるのだろう、「人格」ではないのかと発言する場面があった。

 

②教育内容、方法、評価

 非常に危険だと感じている。

 

③グローバル社会を生き抜くエリート養成

 予測不可能な社会をあおり、国は責任をもたない。自分で課題を発見し探求して解決する力をつけさせるのはそこがねらい。

 

(2)国家主義を支える「人材」づくり

①エリート以外は自分で「生き抜く力」を

 →軍事費の増大と社会保障の削減、それ耐える「生き抜く力」である。

 

②「資質」は態度と本田由紀さんは警告している。

 

③国家に従順な「人材」づくり…道徳の強化 → 新自由主義との矛盾

 今回の改訂は、国家主義、新自由主義が混ざっていると考える。

 

5.2つの新テスト−高大接続問題−

(1)大学「改革」と一体的な新テスト「共通(大学入学希望者)テスト」

①教育基本法改悪(第7条)と国家による大学教育への介入

 

②幼稚園から大学まで、国家主義と新自由主義を貫徹させる学習指導要領

 格差が拡大。小学校の頃から英語塾に通う。高校生で部活をやっている生徒は、講師の授業には間に合わない場合、予備校のサテライトを取る。3ヶ月で30万かかる、3回更新すると年間で100万もかかる。

 学校は「保護者に負担をかけないように、学校の補習は無料だから。」と、朝7時から、夏休みと補習を行い、それが教員の多忙化に拍車をかける。

 

③大学入試が変われば変わらざるを得ない高校教育

 → それが、教育産業が学校現場に浸出する必然的理由

   高校教育のすべての情報(成績のみならず、部活動の実績、ボランティア活動など)が教育産業に把握されるおそれ

 

④小学校から大学まで英語教育を民間企業丸投げ

 学校行事も英語の民間資格試験に左右されるというより学校行事が廃止になる可能性も…?

 

(2)中高接続問題と基礎診断テスト  高校版「全国学テ」?

①学習指導要領と二重のくびき 小中接続問題も…

 高校は普通科、専門学科、定時制など、多様なのに、一律の基礎診断で学力を計ってよいのか? 全国学テと同じように全国で序列化するようなもの。

 現場は意外にも歓迎している。例えば「就職の時の診断に使える」という声がある。高校は、教育課程が学校によってぜんぜん違う。高校は多様化で指導要領があっても、学校独自というところがあった。多様化なのに「基礎診断テスト」でよいのかという声もある。「学校判断でよい」と言っているが、ダブルスタンダードになっているし、入札のための業者説明会では、高校版全国学テに変容してきている。高校の「全国学テ」になってしまうだろうというおそれがある。

 

②学校制度の複線化 小中一貫校、中高一貫校

 ←生徒の奪い合い? ここでも教育産業が

入試の早期化で、その段階で教育産業の偏差値がものをいう。

 

まとめ 私たちの対抗軸

(1)今こそ、開かれた学校づくりを!

   ← 教育産業にはできないことに確信をもつ

   → 「開かれた教育課程」を私たちの手に!

 

※ここで、映像も使いながら、教科の実践紹介がありました。

「生徒が答えは違ってもいいんだ、多様な答えがあるんだといった実感をもつようになる。」という小池さんのお話と生徒の楽しそうな表情が印象的でした。

 

(2)創造的な教育実践で次期学習指導要領を乗り越える

①各学校で生徒の実態、地域の実態から出発する教育課程づくりを!

 

②真に「主体的で対話のある深い学び」の実現を!

 クラスづくり 授業づくり

 生徒は、生徒同士の学びの中で、「教師が教える」を乗り越えたりする。「教育産業にできない実践」を積み上げていくことで、乗り越えていくという視点が重要だろうと考える。

 

質疑

司会

 全面展開のお話だった。高校の置かれた状況もよくわかった。

1992年埼玉教育長「偏差値全面撤廃」と言った。その頃の政権は「偏差値よりも人柄を」で、ある意味歓迎していた。次第に学区撤廃され、「物差し」は中学校の現場からはなくなったが、中学生からはなくなっていない。大学生の話にも「偏差値」がでてくる。教員の多忙化とセットで教育産業が「公教育にビジネス界と業界つなぐ」としているのは、数年の問題ではない。

 司会からの質問になるが、「受験教科に合せて勉強する」という風潮があったが、高校が多様化され、大学の入試がこれだけ多様化する中、「受験に合わせた学び:という視点が、高校教育そのものに影を落とさないのか。

 

小池:

 「どの科目もおろそかにしない」など言うようにしているが、受験となると「5教科」というところがある。英語、数学はやはり課題が多く、3年になると大学受験に合せてとなるところはある。「どの教科も学んでいる生徒」の方が伸びるように思う。「ちからがあるからどの教科も学べる」とも言えるが。

 

司会:

 「2020年から変える」と言っていて、迷走しているように思うが、

高校の現場はどう思っているのか

 

小池:

 高校の現場は、批判的はでない。生徒は受験する。そこに乗せていかなくてはならないから。自分の学校だけで考えているのでなく、高校生にどのような弊害があるのか?「英語の資格試験を受けられる」のは首都圏だけ。北海道は札幌だけ。離島ではテスト会場がない。格差の問題がある。それがわかっていたら「英語の民間テスト」なんて導入しない。難易度が高いほど、受験料が高い。大学の入試でも、同じ大学であっても学部によって、利用する民間のテストが異なる。受験生は混乱する。

 

司会:

ある元都立高校の教員は「大学入試から、英語を外したほうがいい」と言っている。

 

Aさん:

東京総合教育で仕事をしている。小池さんの報告は「エリート教育」の視点からのお話が中心だったが、前回のセミナーで「義務制の教育産業の支配」について話をさせてもらった。全国の小・中学校が競わせられる。「個別の受験産業」が入り込んでいる。あらゆる教育産業が入り込む状況にある。「塾へ行けないような学校に入り込む」「伸びしろのありそうな子どもに塾の補講を受けさせる」など。

 高校レベルの新しい共通テストには、新しい格差に基づいた入り込み方がある「エリート対応」ということだけでは、全国での市場拡大にはならないだろう。いわゆる学校、行政が行うといった意味で、学習指導要領だけを全面に押し出しているわけでなく、学力テスト体制といったところで、格差が拡大していると考える。「浸出」は確かにそうだが、教育市場を拡大して、取り込もうとしていると思う。

 

司会:

 すでに出来上がっている格差の中に、受験産業が入り込んでくることをどう見ていらっしゃるか。

 

小池:

 例えば、職業高校は各種検定を受けさせる。その補習に教員も生徒も追われている。定員割れの私大が増えている中、AOとか入試形態が多様になる中、基礎診断テストのようなものが新たにでてきている。

 

Bさん:大学教員:

 次期学習指導要領の流れの中で、アクティブラーニングなど利用できるものもあると考えるが、エリート教育に関して、このようなやり方でエリートは育たないのではないか。リーダー、エリートというのは「ランキングされたなかで、点が取れる」ということではないだろう。

 論の立て方として「エリートとその他」と言っているが、「エリートは育たない」という視点が必要ではないか。ランキング社会の中で「社会のリーダー層を、国民の中にどうつくるか」という方向に、作り変えていく必要があるのではないか。

 

Cさん:

 東京・私学教員。「教育産業のシステム」を利用し、英語は種々のコンテストをやっている。ここ5年で英語の退職が多い。入試の中で英語はプレッシャーがかかる。様々、教育産業が出しているグッズを使っている。学校の中の講習、補習で、生徒も教員もふり回されている。

 

Dさん:

 東京・私学教員。現場の目線では「同じ状況だ」と思うところが多い。教育産業を入れる前、会議は「生徒のことで悩む場」だったが、会議の内容が「数字を話題にする」というように変わったと思う。「生徒のこと」をみんなで話し合っていたことが、数値で表されるようになった。進路は自分の生き方を試行錯誤することだろう。

 企業が入って、ブースを作って説明会を行う。中学入試にたくさんきた。年収に合せて授業料が無償になったこともあるだろう。都立に行って、予備校に行くより、学校の中で様々講座を利用したほうが安上がりということもある。Eポートフォリオの導入、ツールとしてタブレット、  システム構築…企業、情報産業が授業実践まで紹介するという実態まである。

 

Eさん:

 埼玉私立高校の教員。「業者テストを受けてきてほしい」と言っている。受けられない生徒はスタートから不利。全国の私学から、教育コンサルタントの問題が寄せられている。コンサルタントが入り込み、大きな改革をやったりする。例えば、土曜講座、生徒からお金を取る。英語産業。修学旅行は16万から34万の段階をつけて、行き先を変える。キャリア教育として、34万はNY。海外の企業の視察が入る。私教連は問題にしている、

 一方で、親の年収は下がっている。中には生活保護家庭もある。しかし「教育なんだから」と言う。教員は鈍感なところがある。

 

司会:

 かつて、SI路線、スクールアイデンティティというのが入りこんだこともあった。

 

Fさん:

 退職教員(都立高校)。教員の管理が進んでいる。かつて、教員は和気あいあいだったが、教員に階層ができ、試験があり、上下関係できている。職員会議で意見を言っても、最終的には校長判断。多忙化が激化。4月末まで自己申告書をつくる。評価もつく。部活も多忙化の原因というが、評価項目に特別活動あり、それも書く。部活は「やりたい」という人もいるが、やりたくなくてもやらなくてはならない。最後の方は時間に追われているような感覚だった。休みの日に検定とかあり、ほとんど休みがない状態だった。

 

Gさん:

 退職教員。試験の点数のつけ間違いがあり、始末書。「先生は子どもが見えてないんだろう」と言われた。先生はわからないと言われたが「子どもの姿が見えているのは先生だろう」と思う。

 

Hさん:

 退職教員(私学)。教育産業はなぜそんなに羽振りを効かせているのか。学校自体がコンサルタントされ、先生の賃金にも影響がでる。「そんなものの餌食にはならない」と闘わなくてはならない。

 

Iさん:

 元中学教員。漢検、英検が入試のポイントになる。学校で受験をやっていた。部活でできなかったりするので。なぜこんなに受験料が高いのだろう。Eポートフォリオの導入、「◯◯を書いてほしい」という親、地域の人からボランティアの記載の要望。2歳半からの英語塾まである。

 

Jさん:

 和歌山国民教育研究所で仕事をしている。元中学教員。基礎診断テスト、工業高校ではやると言っている、進学校では一切なし。小・中学校は「特別なこと」をやろうということはないが、「学テ対策で3月は過去問ばかりやっていた」という声が聞こえてくる。3月に入って、10週間授業中に復習を行った。

 

小池:

 「エリート層」でない子どもたち、大変な家庭の子は、アルバイトする、学費と生活費を稼ぐ子、親のダブルワーク、生徒もダブルアルバイト… 貧困と格差問題、朝日新聞の「格差をどうとらえるか」の調査で、貧困家庭の方が「大学に行けないのは仕方がない」とあきらめてしまっている。コレでは、エリートは育たないだろう。「餌食になっている実態」「喰い物になっている実態」を明らかにすると「あきらめ」につながらないかという反省がある。その社会をどう変えていくか。

 次回の学習指導要領は最悪だと思っている。これでエリートが育つとは思えない。新自由主義と国家主義がまざっている。実施されれば破綻は目に見えている。

 

事務局から

今までのセミナーの紹介や夏のセミナーの紹介はHPでご覧ください。

夏のセミナーは、「8050問題」8月5日東洋大学です。

 

 

以上です。